まだら


 
染めものをはじめたころ、理想の色に近づけよう何度もできあがったものを捨てた。何度も繰り返すうちに、僕は色だけでなく別のものにも魅せられてるのに気づいた。
それは「まだら」だ。
ふつう染めものはなるべく色が均一になるようにする。
でも、僕は、コントロールできない「まだら」の美しさにどんどん惹かれていった。同じ工程でも一枚一枚全く違う。
ただ、ここに、この手に、この一枚にしか宿らない色や柄、そして「まだら」がある。
美しい「まだら」が現れるたびに、僕はハッとする。
何度も驚かされる。
だから染めはやめられない。