沈み逝くもの RSS



東京コレクションについて

みなさん、お久しぶりです。ブログの更新がかなり久しぶりになってしまいました。それはこのタイトルについて何から書けばいいのかずっと迷っていたからです。ひとつひとつ言葉にしていきたいと思います。2022年9月2日Rakuten Fashion Week 2023SSに『沈み|shizumi』は出展しました。SNSでもお伝えしましたが、わたしたちのような弱小ブランドが東京コレクションに出展するなど無謀だとわかりきっていました。ですが僕としてはこの東京コレクションという高い壁の上にどんな素晴らしい景色が見えるか、それを確かめてみたかったのです。高い壁を登り、後ろを振り向けばたくさんの仲間やお客様に支えられてこの壁を登ることができたという事実がキラキラと輝いていました。僕にとってあの日、ランウェイの最後に感じた多くの拍手と高揚感と達成感は何事にも変えがたいものになりました。ですが高い壁の向こうには更なる高い壁があり、僕は絶望しました。自分は知識も技術も未熟で、この先にある高い壁はどうあがいても登れない、と勝手に決めつけ、何ヶ月も閉じこもって過ごしていました。なかなか動かない僕に対して何度兄に怒られたことか…。数ヶ月が経ち、ふと気がついたことがありました。それは兄がキラキラしていることです。隣にいる兄はコレクション前よりも、なんて言うか、生きようとしているというか…。そんな兄を見ていて、僕ら沈みが見た景色は、確実に兄を変えたんじゃないかと思いました。何かは変わったのではないか?すでに世界は少しずつだけど変わってるのかもしれない。そんな小さな可能性を感じ、やれることから始めたら色々なことが動き出しました。僕の周りにはすでに助けてくれる多くの仲間と同志(沈みを愛してくれる皆さん)がいたんです。内容は順次発表していきたいと思います。新たな出会いもあり、またこれからも皆さんをワクワクさせるようなことができると思います。僕自身もこれからを楽しみにしています。東京コレクション、終わったあとの景色は予想していたのとは違ったけれど、それよりも遥かに素晴らしい景色を見ることができました。参加を許してくれたJFWの皆さん、全ての皆さん、そして当日足を運んでくれたたくさんの方に感謝します。そして何よりいつも応援してくださる皆さま、支えてくれる仲間、隣にいる兄に感謝しています。ありがとうございます。そしてこれからもたくさんのことに挑戦していきたいと思います。これからもまだ見ぬ景色を共に見に行きましょう。  

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2021 Collection #2 『ALIVE』について

2021 Collection #2 『ALIVE』には、無意味な、非合理なこの世界で"生き抜く"という意味が込められています。 あなたの大切な人が無意味に、非合理に、命を奪われ、死んでしまったら。 新型コロナウイルスは私たちの目には見えず、どこからともなくやってきて、大勢の命を奪い、生活を混乱させ、そしてささやかな日常の楽しみを壊しました。 それでも人生は続きます。 しかし人は弱い。 きっと逃げることもある。 僕の友人は奪われたことが受け入れられず、逃げ続け、とうとう自分の居場所を完全に無くしてしまいました。 その時、僕は思ったのです。 もう少しだけ彼に強さを奮い立たせる何かがあったなら、誰かがそっとそれを後押しできていたら。 僕だってそうです。逃げてばかりです。 だからこそ、不条理な荒地を生き抜くことのできる心を、服を、作りたい、届けたい。 2021年秋、生き抜くための戦闘服をお届けしたいと思います。

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夏の夜

生きていく中で自分にとって大切なものとはなにか。 それは人それぞれで、家族、恋人、仕事や夢かもしれません。 ところが、ある日突然大切なものを失ってしまったら?   悲しみ、苦しみ、後悔などの感情は、凄まじいものでしょう。 人によっては自分の価値さえ見失ってしまうかもしれません。   ところが世界は終わらない。続く。当然だけど。   新しい大切なものを見つけるまで、ぽっかりと穴の空いた世界を、現実を、生きていかなくてはなりません。 壊れた精神の中で、日常はただただ続いていく。   会社にいく。 学校にいく。 電車の中で寝ているサラリーマンを見る。 ネット広告でタレントが大袈裟に笑う。 LINEにメッセージが入る。 車のボンネットが陽射しを反射する。 雲が流れる。 居酒屋の看板が外される。 陽が沈む。 雨が降る。 親指の爪が伸びていることに気が付く。   そんな現実と生きるための戦闘服をこの秋冬にお届けできたらと思います。    

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西武池袋本店POPUPを終えて

  先週、西武池袋本店POPUP「蛾と蝶」無事終了いたしました。   ここまで来ることができたのは、声をかけて頂いた西武池袋本店の担当の方、画家TANAKA AZUSAさん、新作を急いでくださった縫製工場の方々、そして何より沈みを応援してくださっている皆様のおかげです。   西武池袋本店様から声をかけていただいたとき、僕たち沈みが歴史あるデパートで一体何ができるだろう、デパートという舞台にあわせていろいろ工夫すべきなのではないか、などあれこれ考えました。しかしメンバーが導き出した結論は「舞台がどこであろうと沈みは沈みの世界観を徹底して表現するべきだ」というものでした。 西武本店のスタッフの方々から「一週間の展示で床を貼るのはめったにいない、コストや手間を考えてもあまりおすすめできない」とアドバイスいただきましたが、やはり今回のテーマである「蛾と蝶」を表現するには床を黒くすることは絶対に必要でした。元々白い床には黒いマットを敷き、白い柱には青に染めた布を貼りました。フライヤーや紹介のポップもスタッフ総出で細部まで作り込みました。 結果、多くのお客様に足を止めていただき、たくさんの素晴らしい出会いがありました。   僕もスタッフも「沈みの世界を細部まで表現したい」という思いを光にして、時間も忘れ、夢中で走りまわりました。 まるで蛾や蝶が外灯の光に吸い寄せられるように。  

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沈み|shizumi SS

  前回、AWで発表したジャケット『翼の跡』は僕の中で強く沈み|shizumiの核になるものだと感じました。 激しさを内に秘めた美しいシルエット。 だからこそ、多くの方に手にとってほしいと思い『風をみたもの』が生まれました。 春夏に着れるように裏地をなくし、通気性の良いコットンを使用、型は『翼の跡』とほぼ同じですが春夏はインナーが薄くなることを考えウエストを絞っております。バックには沈みらしい風をイメージしたペイントをプリント。 そしてワンピース。 沈みは元々、染めから始まったブランドです。染めを美しく見せるにはやはりワンピースだと思い、今回も丁寧に作りました。 白生地から染めた『真昼の砂』はイメージした通り、大理石のような美しい染めあがりとなりました。トップはシンプルに、スカート部分は沈みの世界観を表現すべく、シルエットに拘りました。独特のドレープ感には満足しています。 夜がささやくは『夜のワンピースシリーズ』として、沈みの象徴的な青を使っています。 SSでは多くの方に手にとって頂けるように品質は下げず、なるべく提供価格を抑えるようにしました。 このご時世で色々なことが変化し、出かける機会も減りファッションにお金をかける方も少なくなったかもしれません。 だからこそ服を作る者として、『沈み|shizumi』を着て”出かけたい””テンションが上がる”など少しでも明るい気持ちになれるような作品を作りたいと心がけております。   今回もDMにて分割相談を承ります。 沈み|shizumiはいつでも皆様をお待ちしております。  

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