kagariyusuke/西武池袋本店POPUP『地下のスポール』を終えて。


kagariyusukeさんの作品に僕は圧倒された。
彼が作る鞄、写真作品は人工物が錆つき腐敗したものが多い。それは人間が生きた痕跡に、腐敗という自然が侵食していること。美しい。

コラボの打ち合わせで初対面にも関わらず、意気投合し5時間も話し込んだ笑
(しかもその中身はほとんどが小説や哲学についてだった笑)
好きなものを共有したり、話したくなる人、ワクワクする人はなかなかいない。

今回のテーマの根幹は『死はそばにある』だ。
生活している中で、死はなかなか見えないものだが、日々生命が誕生し、終わっていく。
テーマをお話しした後、カガリさんが送ってきてくれた写真は大きく分けて2つ。
熱海で撮ったものと、沖縄で撮ったものだった。、

『1000年以上前から認知されていた歴史深い温泉地の熱海。
高度経済成長の熱の需要に応える形で乱立したのちに急速に廃れ落ちた大規模ホテル群が象徴する、経済成長という概念の死骸としての熱海。
今も昔も変わらず土着的にそこに住み続ける地元の人たちにとっての熱海。
古さと新しさのパッチワークリノベーションされた空間を好む最近の若者に向けた観光地としての熱海。

そういった者達が山と海に挟まれた小さな扇状地にひしめき合っている街。
死んだ街と生きた街が同居する場所。
それがぼくの目に映る熱海です。

那覇市内で撮影したものもありますが、ほとんどは金武で撮影したものになります。
金武は観光客もほとんどいなくて、街自体が(観光客向けの)化粧をしていない素の顔って感じをとても気に入ってしまい夢中になって撮った。』

カガリさんの言葉は詩的で美しい。

沖縄には戦場の傷が残っている。
そして私たちの故郷だ。
自然とその色に惹かれた。

このテーマとカガリさんの写真が美しい作品を生み出し、今回のPOPUP『地下のスポール』の作品とし大きな意味を持つものになった。

このテーマのメインであるMA-1は『カビ』をイメージしている。
カビや菌は死骸や枯れ葉を腐敗させるもので、負のイメージを持つ人も多い。しかしその腐敗がなければ再生はない。分解者たる彼らの存在なしに生態系は維持されないのだ。

死も腐敗も生に大切な存在であり、表と裏。
そこから物語が生まれた。

『地下でひっそりとエネルギーを溜めていたものたちが、地上の古びた巨大都市の崩壊をじっと待っているーーー

そんなイメージから、陽のあたらぬ場所で生きる菌類を連想し、抑圧された感情もまた同じように菌糸を伸ばし、胞子(スポール)を放出する時を待っているのだと感じました。そして、その時は近い、と。』

兄の書いた物語が作品、POPUPに深みをもたらしてくれた。

素晴らしい空間になったと思う。
(小説も是非!https://shizumi.art)

期間中、たくさんのご来場、本当にありがとうございました。
いつものお客様、久しぶりのお客様、やっと会えたお客様、初めて会ったお客様、たくさんのお客様にお会いできて幸せな7日間でした。

現在MA-1、ワイドパンツの受注、コラボ作品の販売(残りわずか)、サンプルセールをオンラインにて行っています。

また皆様にお会いできる日を楽しみにしています。

そして最後に

いつもそばに居る兄に、支えてくれる仲間に、そして何より作品を待ってくれている同志に、

ありがとう。