沈み逝くもの RSS



2020年

  みなさま、明けましておめでとうございます。   2019年は嬉野市とのお茶染め企画や夏コレクション、そしてメインラインとは別に「沈み|Noah’s Arc」「沈み | VINTAGE」「沈み|REBORN」の発表など、挑戦の年でした。 たくさんの方と出会い、支えられ、ここまで来ることができました。まだまだ沈みは成長していきたいと思います。 2020年のあらたな発表作品もすでに進んでおります。 僕たちの新たなメッセージを、今年もたくさんお届けしたいと思います。   今年も「沈み | shizumi 」をよろしくお願い致します。   2020年1月の朝に 代表 伊豆味俊

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誰かの真似

  誰かの真似をするというのは大事だと思う。   あんな風になりたいなど始めるきっかけなんてなんでもいい。だけど同じことをしても全く同じにはならない。もし同じになってしまうなら「その人らしさ」が、まだ上手く育っていないんだと思う。おんなじものを身につけて、おんなじ髪型をしていても、目立つ人は目立つ。それは生まれ持った容姿とか、そういうことではなく、自分の中にあるもののあらわれだと思う。   そこを鍛えるためにまた真似て、失敗して、また真似て、驚嘆して、嫉妬して、また真似て、傷ついて。 どんなに真似ても出てしまう「自分らしさ」に嫌気がさし、消してしまいたいと願うほど、呪われたなら、何を真似てももう自分しか出てこない。   僕の作品を真似してもらえるような、そんな強烈な作品を沈み【shizumi】で生み出していきたいと思う。

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沈み×嬉野

  僕が初めて嬉野を訪れたのは、結婚の挨拶に妻の両親に会いにいったとき。   高速バスを降りて最初に吸った嬉野の空気はよく澄んでいた。 妻の両親はあたたかく僕を迎えてくれ、僕たちは家族になった。そして、昼夜問わず町の人々と飲み歩いた。どこへいっても歓迎された。 もちろん日本三代美肌の湯で有名な温泉も、伝統ある嬉野茶も素晴らしい。でも僕の体に一番染み込んだのは、この町の人々のあたたかさだ。 なぜこの町を僕は知らなかったのだろう。もっと知ってもらいたい。自然とそう考えるようになった。それがはじまりだった。   嬉野茶による美しいお茶染めと出会い、自分の染めに取り入れるのにずいぶん苦労した。お茶だけでは思いの色が出せず、嬉野温泉水を使わせてもらった。 かなりいいものが完成した。 この作品を通して多くの人が嬉野を知ってくれたら、と心から願う。   是非みなさま、あたたかく、やさしい町、嬉野を訪れてみてください。 協力してくださった全てのみなさんに感謝します。

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まだら

  染めものをはじめたころ、理想の色に近づけよう何度もできあがったものを捨てた。何度も繰り返すうちに、僕は色だけでなく別のものにも魅せられてるのに気づいた。 それは「まだら」だ。 ふつう染めものはなるべく色が均一になるようにする。 でも、僕は、コントロールできない「まだら」の美しさにどんどん惹かれていった。同じ工程でも一枚一枚全く違う。 ただ、ここに、この手に、この一枚にしか宿らない色や柄、そして「まだら」がある。 美しい「まだら」が現れるたびに、僕はハッとする。 何度も驚かされる。 だから染めはやめられない。

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テーマ

  「沈み」の作品郡に関してはほとんど情報を開示していません。   何を表現しようとしているのか、どういうものからヒントを得たのか、何がきっかけでその作品をつくりはじめたのか……。ヒントとなるのは作品名くらいでしょう。 もちろん僕はある程度までは把握できている。でもどうしても言語化できない部分がある。 それを大事にしたい。 デザイン、作品名、撮影場所、写真、全てがメッセージです。   一方で、それを着て感じとるのはその人であって、その人が観て、着て、感じて、考えてくれればいい。 それぞれの、その時々の、答えがある。それでいい。 何度も着たら色褪せていくかもしれません。だけど、そこにはまた新たな感じ方が待っている。 「沈み」はお客さんが着て、感じて、初めて完成するものです。   あなたと共に「沈み」がありますように。

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