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沈み|Noah’s Ark

セカンドライン『Noah’s Ark』 は4月から毎月新作を発表しています。『Noah’s Ark』は現在、セカンドラインですが、2017年沈みはここから始まりました。無地のT-shirtにペイントを施しSNSで販売することから始まった沈みはヴィレッジヴァンガードオンラインでの販売、楽天市場店でのそれらの販売を経て、2020から本格的に服作りを開始しました。ひとつの目標であった東京コレクション2023SS出展後、僕は迷い、長く長く引きこもっていました。 再び火を灯してくれたのは兄と、そして待っていてくれた同志たちでした。もう一度ゼロからはじめようと、僕はNoah’s Arkの毎月の撮影を決めました。カメラマンには東京コレクション前から僕らに声をかけてくれていた表駿太さんにお願いしました。そしてモデル。知り合いの紹介や東京コレクションで直接沈みに声をかけてくださったたくさんのモデルの方々、何人もの写真を見させていただいたのですが、なかなか僕の考えるNoah’s Arkのコンセプトにあう方を見つけられず、悩んでいました。ある日何気なく開いたSNSで強い眼差しをした女性が目にとまりました。迷い、悩みを一気に打ち消すような強い瞳。それが現在のNoah’s Arkモデルの野口真緒さんです。女優である彼女は様々な表情を見せてくれます、撮影のたび、僕は彼女の表情に驚かされます。4月に販売開始をした『忘れ得ぬ焔』は2022年の秋に制作したものであり、初めての東京コレクションという『焔』が終わったあとでした。同様に『ユメノアト』も初めての東京コレクション(夢)の後を思い、制作しました。大きな舞台に立ち、たくさんのことを学び、そして私たちには支えてくれる仲間がいることを改めて知りました。再出発をした『Noah’s Ark』にはカメラマンの表駿太さん、モデルの野口真緒さんの存在が本当に本当に大きいです。いつもありがとうございます。ノアの方舟のように、ここが始まりだったように、沈みは原点回帰し再び歩き出しました。再出発した『沈み|shizumi』にさっそく様々な方達が声をかけてくれました。その話はまた後日。これからも『沈み|Noah’s Ark』を、そして『沈み|shizumi』をよろしくお願いします。再び、まだ見ぬ景色を、共に。

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kagariyusuke/西武池袋本店POPUP『地下のスポール』を終えて。

kagariyusukeさんの作品に僕は圧倒された。彼が作る鞄、写真作品は人工物が錆つき腐敗したものが多い。それは人間が生きた痕跡に、腐敗という自然が侵食していること。美しい。コラボの打ち合わせで初対面にも関わらず、意気投合し5時間も話し込んだ笑(しかもその中身はほとんどが小説や哲学についてだった笑)好きなものを共有したり、話したくなる人、ワクワクする人はなかなかいない。今回のテーマの根幹は『死はそばにある』だ。生活している中で、死はなかなか見えないものだが、日々生命が誕生し、終わっていく。テーマをお話しした後、カガリさんが送ってきてくれた写真は大きく分けて2つ。熱海で撮ったものと、沖縄で撮ったものだった。、『1000年以上前から認知されていた歴史深い温泉地の熱海。高度経済成長の熱の需要に応える形で乱立したのちに急速に廃れ落ちた大規模ホテル群が象徴する、経済成長という概念の死骸としての熱海。今も昔も変わらず土着的にそこに住み続ける地元の人たちにとっての熱海。古さと新しさのパッチワークリノベーションされた空間を好む最近の若者に向けた観光地としての熱海。そういった者達が山と海に挟まれた小さな扇状地にひしめき合っている街。死んだ街と生きた街が同居する場所。それがぼくの目に映る熱海です。那覇市内で撮影したものもありますが、ほとんどは金武で撮影したものになります。金武は観光客もほとんどいなくて、街自体が(観光客向けの)化粧をしていない素の顔って感じをとても気に入ってしまい夢中になって撮った。』カガリさんの言葉は詩的で美しい。沖縄には戦場の傷が残っている。そして私たちの故郷だ。自然とその色に惹かれた。このテーマとカガリさんの写真が美しい作品を生み出し、今回のPOPUP『地下のスポール』の作品とし大きな意味を持つものになった。このテーマのメインであるMA-1は『カビ』をイメージしている。カビや菌は死骸や枯れ葉を腐敗させるもので、負のイメージを持つ人も多い。しかしその腐敗がなければ再生はない。分解者たる彼らの存在なしに生態系は維持されないのだ。死も腐敗も生に大切な存在であり、表と裏。そこから物語が生まれた。『地下でひっそりとエネルギーを溜めていたものたちが、地上の古びた巨大都市の崩壊をじっと待っているーーー そんなイメージから、陽のあたらぬ場所で生きる菌類を連想し、抑圧された感情もまた同じように菌糸を伸ばし、胞子(スポール)を放出する時を待っているのだと感じました。そして、その時は近い、と。』兄の書いた物語が作品、POPUPに深みをもたらしてくれた。素晴らしい空間になったと思う。(小説も是非!https://shizumi.art)期間中、たくさんのご来場、本当にありがとうございました。いつものお客様、久しぶりのお客様、やっと会えたお客様、初めて会ったお客様、たくさんのお客様にお会いできて幸せな7日間でした。現在MA-1、ワイドパンツの受注、コラボ作品の販売(残りわずか)、サンプルセールをオンラインにて行っています。また皆様にお会いできる日を楽しみにしています。そして最後にいつもそばに居る兄に、支えてくれる仲間に、そして何より作品を待ってくれている同志に、ありがとう。

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東京コレクションについて

みなさん、お久しぶりです。ブログの更新がかなり久しぶりになってしまいました。それはこのタイトルについて何から書けばいいのかずっと迷っていたからです。ひとつひとつ言葉にしていきたいと思います。2022年9月2日Rakuten Fashion Week 2023SSに『沈み|shizumi』は出展しました。SNSでもお伝えしましたが、わたしたちのような弱小ブランドが東京コレクションに出展するなど無謀だとわかりきっていました。ですが僕としてはこの東京コレクションという高い壁の上にどんな素晴らしい景色が見えるか、それを確かめてみたかったのです。高い壁を登り、後ろを振り向けばたくさんの仲間やお客様に支えられてこの壁を登ることができたという事実がキラキラと輝いていました。僕にとってあの日、ランウェイの最後に感じた多くの拍手と高揚感と達成感は何事にも変えがたいものになりました。ですが高い壁の向こうには更なる高い壁があり、僕は絶望しました。自分は知識も技術も未熟で、この先にある高い壁はどうあがいても登れない、と勝手に決めつけ、何ヶ月も閉じこもって過ごしていました。なかなか動かない僕に対して何度兄に怒られたことか…。数ヶ月が経ち、ふと気がついたことがありました。それは兄がキラキラしていることです。隣にいる兄はコレクション前よりも、なんて言うか、生きようとしているというか…。そんな兄を見ていて、僕ら沈みが見た景色は、確実に兄を変えたんじゃないかと思いました。何かは変わったのではないか?すでに世界は少しずつだけど変わってるのかもしれない。そんな小さな可能性を感じ、やれることから始めたら色々なことが動き出しました。僕の周りにはすでに助けてくれる多くの仲間と同志(沈みを愛してくれる皆さん)がいたんです。内容は順次発表していきたいと思います。新たな出会いもあり、またこれからも皆さんをワクワクさせるようなことができると思います。僕自身もこれからを楽しみにしています。東京コレクション、終わったあとの景色は予想していたのとは違ったけれど、それよりも遥かに素晴らしい景色を見ることができました。参加を許してくれたJFWの皆さん、全ての皆さん、そして当日足を運んでくれたたくさんの方に感謝します。そして何よりいつも応援してくださる皆さま、支えてくれる仲間、隣にいる兄に感謝しています。ありがとうございます。そしてこれからもたくさんのことに挑戦していきたいと思います。これからもまだ見ぬ景色を共に見に行きましょう。  

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2021 Collection #2 『ALIVE』について

2021 Collection #2 『ALIVE』には、無意味な、非合理なこの世界で"生き抜く"という意味が込められています。 あなたの大切な人が無意味に、非合理に、命を奪われ、死んでしまったら。 新型コロナウイルスは私たちの目には見えず、どこからともなくやってきて、大勢の命を奪い、生活を混乱させ、そしてささやかな日常の楽しみを壊しました。 それでも人生は続きます。 しかし人は弱い。 きっと逃げることもある。 僕の友人は奪われたことが受け入れられず、逃げ続け、とうとう自分の居場所を完全に無くしてしまいました。 その時、僕は思ったのです。 もう少しだけ彼に強さを奮い立たせる何かがあったなら、誰かがそっとそれを後押しできていたら。 僕だってそうです。逃げてばかりです。 だからこそ、不条理な荒地を生き抜くことのできる心を、服を、作りたい、届けたい。 2021年秋、生き抜くための戦闘服をお届けしたいと思います。

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夏の夜

生きていく中で自分にとって大切なものとはなにか。 それは人それぞれで、家族、恋人、仕事や夢かもしれません。 ところが、ある日突然大切なものを失ってしまったら?   悲しみ、苦しみ、後悔などの感情は、凄まじいものでしょう。 人によっては自分の価値さえ見失ってしまうかもしれません。   ところが世界は終わらない。続く。当然だけど。   新しい大切なものを見つけるまで、ぽっかりと穴の空いた世界を、現実を、生きていかなくてはなりません。 壊れた精神の中で、日常はただただ続いていく。   会社にいく。 学校にいく。 電車の中で寝ているサラリーマンを見る。 ネット広告でタレントが大袈裟に笑う。 LINEにメッセージが入る。 車のボンネットが陽射しを反射する。 雲が流れる。 居酒屋の看板が外される。 陽が沈む。 雨が降る。 親指の爪が伸びていることに気が付く。   そんな現実と生きるための戦闘服をこの秋冬にお届けできたらと思います。    

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